越前若狭発!育てる博物館

レイヤーを重ねることで、見えてくる景色がある。

育てる博物館 (9)薬味 1. ツンとくる!ソバー

どうも,岩本鑑糵です.
以下のリンクで,「Googleマイマップ」が開きます.
レイヤー「大根+そば・うどん」をご覧ください.
https://www.google.com/maps/d/edit?mid=1-CNFt2fhL3wO3c25-38VO103WoViz4Q&usp=drive_link


越前の美味しいものというと、地元の人間はとりあえず「そば」を挙げたくなるのですが、
県外ではある程度のそば通にしか通じないのが悲しい。
(特に首都圏では、「え?長野ならわかるけど」って言われることが多い・・・)


「味の素食の文化センター」が発行している雑誌『vesta』2024年秋号は、「地域のそば」特集。
https://www.syokubunka.or.jp/publication/productions/vesta-backnumber/post_25.html
全国各地のそばとともに、越前のそばも紹介されていました。
特徴は、何といっても大根おろしをぶっかけること。
ツンとした風味とジャクジャクとした食感が、香り高くコシのある麺と濃いめのつゆによく合います。


記事を書かれた福井市内のそば店「たからや」店主・宝山栄一さん曰く、越前のおろしそばにも3種類あるとか。
1.そばに大根おろしとネギ、かつお節をのせ、その上からそばつゆをかける
2.大根おろしをあらかじめそばつゆと混ぜ、ネギとかつお節をのせたそばにかける
3.大根おろしの搾り汁をあらかじめそばつゆと混ぜ、ネギとかつお節をのせたそばにかける
大根おろしを搾る以外は最終的なできあがりに大きな違いはなさそうですが、
狭い地域でもこれだけの食べ方があるのは、それぞれの家庭やお店で親しまれてきた証左でしょう。


大根おろしとそばを合わせる例は、実は他の地域にも。
南信・高遠の「高遠そば」は、大根おろしに焼みそとネギを入れて混ぜ、これに麺を浸けて食べます。
http://massya.com/takatoosoba.htm
また、北信・坂城の「おしぼりうどん」は、大根おろしの搾り汁に味噌をとき、これまた麺を浸けて食べます。
https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/oshibori_udon_nagano.html
さらに、北関東で食される「大根そば」では、細く切って生または茹でた大根を麵とともに食するようです。
https://www.tochinavi.net/select/?t=daikonsoba


麺を食べる際の大根は、痩せた土地でも育ちやすいことから、広い地域で薬味として重宝されたのですね。
ツンとする風味は、料理にアクセントを与え、食欲をそそります。
その土地ごとに手に入る素材を駆使する姿勢は、まさにブリコラージュですね。