どうも,岩本鑑糵です.
以下のリンクで,「Googleマイマップ」が開きます.
レイヤー「フノリ」をご覧ください.
https://www.google.com/maps/d/edit?mid=1Vkar64YKFJVE9KgZJ9s4XZ-vyizmYOc&usp=sharing
今回ご紹介するフノリも紅藻の一種で,フノリ属の総称です.
フクロフノリ,マフノリ,ハナフノリなどが含まれます.
満潮位付近の岩場に生えていることが多い海藻です.
主な生産地は北海道から九州にかけての太平洋側となっていますが,フノリを利用する文化は全国に広がっています.
なんたって用途が広い広い.
煮出した糊を漆喰に混ぜたり、織物の糸に塗って切れにくくしたり...
多糖類の粘性でもって素材に粘りを与えるために,様々な場面で利用されてきました.
越前は絹織物「羽二重」の一大産地ですが,そこでもフノリは欠かせない素材で,フノリを扱う問屋さんもあります.
フノリから煮出した糊に絹糸をくぐらせ,繊維を強くします.
そうすることで糸をしっかりと張り,きめ細かく織っていくわけです.
越後の魚沼地方には、ツナギに小麦でなくフノリを使った「へぎそば」があります.
こちらは越後縮の糸を張るために使用されていたフノリを,蕎麦のツナギに使ってみたようです.
加えて,ソバの茎を燃やして作ったアク汁は糸を漂白するために使われていたとか.
織物と蕎麦のシナジー,半端ないっす.
参考: https://kojimaya.co.jp/kodawari/rekishi.html
蕎麦のツナギというと小麦粉が一般的ですが,雪が多く小麦粉が貴重な地域ではそれ以外の素材をツナギに使うことがあります.
卵だったり山芋だったり,信州飯山の富倉そばではヤマゴボウの繊維だったり.
より豊かな暮らしやより良い仕事のために,人は与えられた素材を駆使してきました.
これは食べものや道具などの有形のものに限らず,祭りや民話などの無形のものでも同じこと.
文化人類学者レヴィ=ストロースが言うところの「ブリコラージュ」の賜物です.
たまには日常を飛び出して,素人なりに歩き回ったり手を動かしたりしながら,自分の中の「野生の思考」を活性化したいものです.
そして,フノリの用途開発のための研究は今も行われています.
例えば,文化財修復材として.福井県立大学では,無色透明で使いやすい素材を開発しているようです.
参考: https://www.maff.go.jp/j/pr/aff/2203/univ01.html