どうも、岩本鑑糵です。
「育てる博物館」第3弾は、豆の旅。
以下のリンクで、「Googleマイマップ」が開きます。
福井県を中心に、豆の情報を集めているマップです。
葉っぱのマークが各地の豆の品種で、家のマークが豆を使ったお菓子を作っているお店などを表しています。
今回は「アズキ」「ササゲ」のレイヤーをご覧ください。
https://www.google.com/maps/d/edit?mid=17wtVQ5k2Xis3r6FBg6Po0J_FpjJXRRY&usp=drive_link
福井県北部の三国や芦原では、夏になると「とびつき団子」というのが作られます。
https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/tobi_tsuki_dango_fukui.html
餅の周りに茹でたササゲをくっつけた、土用餅の一種です。
土用餅というと餅を小豆餡で包んだいわゆるあんころ餅が一般的なのですが、これは豆を餡にせず茹でただけ。
なかなかパンチの強い見た目をしてますが、これが美味い。
実は石川県や富山県にも同様の、「ささげ餅」があります。
さらに北陸だけじゃなく、対馬の「だんつけもち」や沖縄の「ふちゃぎ」はササゲではなくアズキを使っていますが、基本的な製法は同じで見た目も酷似。
さらに近縁種?として、宮崎県美々津の「お船出団子」は、米粉と小豆を蒸して搗き、渾然一体となった一品。
これらといい、おはぎやぼたもちいい、「餅+アズキorササゲ」というスタイルのお菓子は、
全国各地にあるようです。
中尾佐助や佐々木高明らが提唱した「照葉樹林文化論」では、作物のモチ品種とアズキを、麹や納豆などと並び照葉樹林文化の特徴であるとしています。
だとすると、この餅たちは季節の行事や信仰とともに、照葉樹林帯に沿ってやってきたのではないか?
中国南部からヒマラヤにかけての一帯に、これに類する食べものがあるのではないか?
今後調べがいのあるテーマですね。
以前お世話になった植物遺伝育種学の先生によると、東南アジアには粽にササゲを入れた食べものがあるらしい...
ササゲはアフリカ原産だし、ささげ餅を照葉樹林文化に結び付けるのはちと乱暴かな...?
とはいえササゲやアズキって、呼称や分類が錯綜しててややこしいのです。食文化においてもさほど区別されていないのかもしれません。
なお今日、アズキは北海道産が国産の9割以上を占めているという...
https://www.maff.go.jp/j/tokei/kekka_gaiyou/tokutei_sakumotu/r5/syukaku_mame/index.html
原産地は照葉樹林帯なのに...これはもう,執念やな。育種家ってスゴい。